新型コロナウイルスに感染すると、肺で過剰炎症が起こり、多臓器不全という命にかかわる状態に陥ることが有ります。
「サイトカイン」とは細胞から分泌されるたんぱく質のことです。体がダメージを受けると、細胞に信号を送って、細胞を増殖させたり分化させたりして体を守るために働きます。肺がウイルスに感染した場合には、サイトカインが体内の細胞に炎症が起こったことを連絡し、免疫細胞に体を炎症から守るように命令を出します。ところが炎症が進むと、その分サイトカインも大量に分泌されます。
炎症が進むと、細胞が暴走して、サイトカインの分泌をコントロールできなくなり、過剰に戦いを続けてしまうのです。この状態を「サイトカインストーム」と言います。
「サイトカインストーム」の状態では、ウイルスだけでなく自分自身の細胞までも傷つけてしまうので、更に過剰な炎症が起こり、多臓器不全に陥ってしまうわけです。
ただ、新型コロナウイルスに感染した全ての人が「サイトカインストーム」が起こるわけではありません。その理由はまだ分かっていませんが、高齢者や基礎疾患がある方に起こりやすいことから、健全な免疫力を保有していることが「サイトカインストーム」の抑制につながるのではないかと考えられています。
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